超言理論

特に益もない日記である

サカサマ

「サカサマのパテマ」を見た。

音楽と画が美麗で不安になるくらいだった。
一緒に見に行った友達はずっと「物理法則が-」って突っ込んでたけど、別にあれくらいでいいと思う。
ファンタジーだし、SFだし。
個人的には、劇中何となく感じていた違和感の理由が最後に分かって満足でした。
結構良かったと思います。

#追記
たまたまニュースサイトで「サカサマのパテマ」の記事を読んだ。色々発見したことがあるのでちょっと追記しようと思う。
ネタバレが含まれる。










吉浦康之監督は「イヴの時間 劇場版」を担当した監督。同じくスタジオ六花も。

もともと世界は私たちの住んでいるような普通の世界だった。
しかしながら、ある日の大災害を境にその環境は一変する。
その大災害は物質にかかる重力を反転させる現象だった。
これによって、人間をはじめとして、動物、木々、建物、果ては地面の一部までが地球の重力から乖離し、空へと飛んで行った。世界の半分は「サカサマ」になった。
それから長い月日がたち、人間はサカサマな者とサカサマでない者のそれぞれがアイガと地底世界に分かれ住み、平穏な生活を手に入れたと思われたのだが…

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・アイガ
エイジの住む世界。
サカサマ人は咎人であり、その咎ゆえに空へと落ちていくのだと教育している。
ガイア(大地の象徴)の逆読み:つまり、逆転した世界を示す。実際にサカサマになっていたのはアイガ世界の方だった。

・アイガから見上げる空
アイガは空を不気味で忌み嫌われるものだと信じている。
しかし、エイジが言うようにアイガから見える星空は美しい。美しすぎて、少し不安になるくらいだ。
不安になる原因はいくつかあるが、多くの理由は「月がない」「鳥が飛んでいない」「風があまり吹いてない」というところではないだろうか。
アイガは実際は地底を見上げるサカサマ世界なので、月がないのは当然で、自転・公転しても惑星の内部空間なので風もほとんど生じない。また、サカサマになった鳥はアイガにたどり着く前に地底世界を通ることになるので、おそらくほとんどアイガにいくことはできないのだろう。もしくは、空を自由に飛ぶ生物は皆殺しにされてしまったのかもしれない。エイジの父も空を飛ぶ装置を作って、弾圧されて事故に見せかけて殺された。

・アイガ:フェンスの外側
フェンスの外側は、件の災害で崩壊した世界が広がっているらしい。危険なので、立ち入りは禁じられている。
どこかに、地底世界につながる穴があるとのうわさだが…
フェンスの外側はそこそこ進んだら壁があるのではないか。
地底世界またはアイガで消費されるエネルギーを賄うための施設は見受けられない。しかしながら、どちらにも電気のようなものは通っているし、水や食料もある。これを踏まえると、どこかに大きな発電施設があるように思える。もしそのような施設があるとすればアイガ世界から空に落ちて行った先、なぞの機械だらけの世界だ。日中は激しく放熱し、発光し、蒸気を排出する。おそらく、地核から熱を取り出してエネルギーにするような施設ではないだろうか。ここからエネルギーのほとんどを賄っており、そのエネルギーはアイガのフェンスを越えたずっと先で機械だらけの世界と地下世界とつながっている。

・空を飛ぶ機械
アイガでは不吉であるとされる空、そこを飛ぼうとする機会を作っていたのがエイジの父だ。
気球のような装置だが、どうやって飛ぶのかは不明…
サカサマのパテマでは謎の筒が登場する。どうやら「サカサマに重力がかかる」ような物質が入ったもので、元はラゴスが持っていたもののようだ。これを積んで、うまくサカサマの重力と元の重力を釣り合わせることで空を飛ぶことができる。
この筒、ラゴスが何本か持っていたのだが、どこから手に入れてきたのだろうか?もし、エイジの父とラゴスが共同して作ったのであれば、その技術はサカサマ人をサカサマでなくす可能性を秘めているのだが…

・サカサマ
劇中ではサカサマになったパテマとエイジが抱き合って空を飛んだり、ゆっくりと下降したりするシーンが何度も見受けられる。月かどこかで飛んでいるようなふわふわとした楽しい気持ちになる。
中盤からは…?
サカサマ・スペクタクルとはよく言ったもので、途中からは自分が今どちらの視点で見ているのかわからなくなるほど怒涛の展開で天地が入れ替わっていく。
特に「どちらかが手を放したらどちらも落ちてしまう」という状況はドキドキ感も二倍になって感じる。






・最後に
一歩踏み出せたエイジは、きっとパテマの気持ちを理解できたのでしょう。
何となく、見ている間はマイノリティとマジョリティの問題なのかなーと思いながら見ていたのですが、というよりは「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」と言われているような気にもなりました。
月並みですが、違っても同じ人間とか、理解しあって信頼し合えばもっと楽しくなるとか、簡単だけど難しい、けれど、少し信じたくなる映画でした。


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